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森と風のがっこう 3.11後 その1

森と風のがっこう…通称“森風(もりかぜ)” (運営母体はNPO法人岩手子ども環境研究所) は、岩手県の北東部、葛巻町にある。標高700m、12世帯が暮らす山村集落にある廃校を再利用し、自然エネルギー教育、エコロジカルな生活教育の場として、循環型の暮らし…sustainabilityな暮らしが実感できる施設づくり、場づくりを進めている。
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この設立10周年を迎えた「森と風のがっこう」が五感を全開にして遊べる子どものための遊びの森づくり…これまでの日本にはなかった「子育ての森」と「循環の森」を組み合わせたエコロジカルデザインの体現を目標に、森と生活を結ぶフィールドづくりをスタートさせた。

森と風のがっこうHP

私は、この森風で先週末からの連休、7月16日~18日までの3日間行われた、
「子育て」と「循環」の森づくりワークショップ
 楽しみながら子どもと森をつなぐエコロジカルデザイン!

と題したワークショップシリーズの第2回目 
「子育ての森」~アートオブジェづくり~ の講師として参加。
森風にはこのワークショップの打ち合わせがあった4月以来の3か月ぶり。
3.11の出来事は、いまだ東北各地に大きな爪痕を残したままだけれど、幸いにも森風のある葛巻町は岩手県の内陸にあり震災の直接被害は無い。
とはいえ、これまで森風を訪れたたくさんの子供たちや関係してくださった方々が多数被災していることを想うと言葉を失う…でも、だからこそ、「森と風のがっこう」は新たな方向に向かって全力で歩み始めた。
私もそんな森風と歩みを共にしたいと願ってやまない。
今年の予定ではあと3回ほど森風に行く予定…今月から4か月連続で森風におじゃますることになりそうだ。

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「もったない・ありがたい・おかげさま」という合言葉のもと、楽しみながらこの地にあるものをつなげてゆく。
知識だけじゃわからない。自分からもっと近づいて、自分でやってみる
自らの内に起こる気付きの瞬間を大切にし、森と風と共に生きる地域の人々と共に教えあい学びあう場づくりをつうじて、自然から学び、自然について深く理解しながら、子どもたちの居場所をおとなの手で保障したい…という思いから始まった森風の活動。
岩手県の県庁所在地、盛岡市からは遠く離れ、高齢化・過疎化・後継者不足が深刻化する山村の町、葛巻町の山あいの谷間…いわば限界集落。冬の気温は-25℃近くまで下がり、携帯電話の電波は届かない。国の土地基準では4級僻地(1級僻地~5級僻地まで)に指定されるような山奥の村に今では年間5000人を超える人々が訪れている。

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私が森風をはじめて訪れたのは7年前。
当時の森風はまだ山の分校そのままといった風情…。風呂は無い。トイレは旧式のまま。知り合いの建築家が森風の改装工事をするというので、そのお手伝いがてら見学に伺ったのが最初の出会い。ちょうどカフェ森風をつくったのもこの時。私には「森と風のがっこう」という名称とパーマカルチャーの手法をとり入れているらしい…ことぐらいしか情報は無く、山奥の自給自足のがっこうみたいなところかな?…ぐらいにしか思ってもいなかった当時の私は、森と風のがっこうが何を目指しているのかなんてことは知る由も無かった。

そんな私があれからずっと…そして今も、「森と風のがっこう」に関わり続けさせてもらっていることに何とも不思議な縁のようなものも感じつつ、森風設立10年という節目にスタートさせた、森と風のがっこう10年間の活動の集大成…森風がさらに未来に向けて歩み始めた一歩とも言えるような「子育ての森・循環の森」構想のメンバーの一人に加えて頂けることに心から感謝したい。
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『知識だけじゃわからない。自分からもっと近づいて、自分でやってみる。自らの内に起こる気付きの瞬間を大切にしながら、地域の人々と共に教えあい学びあう場づくり』

私たち家族が東京を離れ、長野市に住むことを決意した大きな理由はいくつかあるけれど、森風との出会い、そして今もつづく関係性は間違いなくその理由の一つだったと思う。
長野市に暮らして2年半…。
私の視界の先には、森風という場と葛巻の森の中で感じた、“共生と循環の場”の姿
がおぼろげなら見えてきたような気がすると同時に、そんな場と関係性をつくりたい…という想いが自分の内に沸々と起こりはじめていることを強く感じている。
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いまでこそ長野市は全国にも名の知れた地方都市へと変貌しているけれど、かつてはここも山の奥深く…四方を山と森に囲まれた辺境の地であったことを私たちは忘れかけている。
善光寺を始め、はるか昔からこの地にあり続けてきた神社寺社を始め、この地に受け継がれてきたたくさんの伝統は、すべてみな、ここが山や森との関係性の中で築かれてきた場所であることを忘れないがためにある。
山の気配を…森の匂いを含んだ風は今も長野市に吹いてきている。
私たちは今この町でその風を感じることができているのだろうか…。

風を感じたい。
山から…森から吹いてくる風を。
かつてここが山であり森であった頃に吹いていた風を…。

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かつて、「つくること」そして「場づくり」を頭だけ…知識だけで考えていた感が否めなかった私にとって、「自分からもっと近づいてみる」という気付きの瞬間は、森と風のがっこうとの関わりの中にあった気がする。今の私へと方向づけるような経験やきっかけが森と風のがっこうとの関わりの中には驚くほどたくさんある。
子供たちとの関わりの中で、ワークショップに参加して頂いた人々との関わりの中で、森風のスタッフを始め、たくさんのボランティアスタッフたちとの関わりの中で、そして森との関わりの中で…。
森と風のがっこうは、“がっこう”であって学校では無い。
「共に教えあい学びあう場づくり」…という精神は決してぶれることなく変わらず、常に森からの風を感じ続けながら歩み続けようとしている。

         
小池マサヒサ記
by cafe_mazekoze | 2011-07-20 14:31 | RIKI-TRIBAL | Comments(1)
Commented by chieda919 at 2011-07-21 19:09
小池さんの文がとってもわかりやすく、やわらかくなったように感じるのは、私だけ?
(^^)
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