歴史の町

善光寺門前町界隈とその周辺には、たくさんの伝説があります。
先日、「歴史の町長野を紡ぐ会」代表の小林玲子さんがマゼコゼにお出でになった際に、2冊の本をカフェマゼコゼに寄贈してくださいました。

「門前町伝説案内」、長野郷土史研究会会長の小林一郎・著
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「伝説の寺、善光寺」小林一郎、小林玲子・共著
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「門前に暮らすこと」とは、地図上の範囲として捉えられる門前町にある住居に暮らしたり利用することだけではなく、この町の背景にある歴史を知り、時間軸の上にある門前町とも繋がるという意味を持っていると思います。
「暮らすこと」と「繋がること」
この二つの言葉が結び合わさってつくられてきた町。
かつて善光寺門前町では、様々な、ひと・もの・こと が交差し、繋がりが生まれ、
そうした暮らしぶりが、日本全国に伝わり広がっていったであろう様は、まさに現代のインターネットを通じての広がり方、繋がり方に似ている気がします。

こうした門前町の暮らしぶりやその広がり方、繋がり方のような、姿や形の無い現象を捉えること。そして、それを他者に伝えること…。
それもまた美術(Art)の役割だと思います。
そんなArtの役割に興味を抱いてきた私たちは、東京の国立市でPlantercottageという場をつくり、そして昨年からは長野市でマゼコゼをつくり始めました。
異なる地域での二つの場づくりに共通する特徴は、創作途上の場を使うことによって、訪れる者の反応やそこで起こる様々なコトをフィードバックしながら場づくりを進めてゆく、ワークインプログレス【work in progress】的な手法を用いている点であるかもしれません。
とはいえ、私たちがつくり続けている場を訪れる方々がArtについての予備知識を持つ必要性は全くありません。それどころか知識は「感じる力」を鈍化させてしまう傾向さえあるので、マゼコゼにはどうか、知識などは持たずにダラ~っといらして頂きたいと思います。

江戸時代が終わり明治時代に入るまでの間、日本には『芸術』や『美術』という言葉はありませんでした。
だからと言って、日本に“それ”が無かったということではありません。
“それ”とは、“目には見えないものを見ようとすること”のようなものです。
参考:RIKI-TRIBAL Blog http://rikitribal.exblog.jp/6886730/

「目には見えないけれど、確実にあるもの」
その究極は私たちの「心」の存在、そして万物に宿る「魂」という存在なのかもしれません。信仰心とは、“目には見えないけれど確実に存在するということを信じる心”であると解釈すれば、「見えないものを見ようとする心を育てる場所」それが「寺」であると考えることもできると思います。

芸術や美術という言葉は、明治以降に入ってきた西洋の概念に対して新しくつくられた言葉です。寺子屋に代わって学校という言葉を用いるようになったのも明治以降のことのようですが、明治になる以前は、美術や芸術という言葉が無かったので、それを学ぶための学校も当然ながらありません。それどころか多くの人々にとって、絵を見ることさえ稀なことでした。
そんな時代にあって、人々が絵や彫刻…「芸術」に出会うことのできる唯一の場所、
それが「寺」だったのかもしれません。

…と考えると、
「寺」はまさしく「芸術によって心を育む学校」
そして、心について語り合ったであろう場所…それが善光寺門前町であったと言えるのかもしれません。

『今、感じていること』…“今という時代によって育くまれている心”を、後世に生きるであろう人々に伝えるにはどうすれば良いのか?
この難問に挑んだ人々がいてくれたおかげで、私たちの今は過去の今と繋がることができている…。
それが目に見える姿となって表われているのが善光寺とその門前の町並みです。
この町並みは、あえて大袈裟に言うとすれば、善光寺という総合芸術学校があったからこそ受け継がれた…、過去も今も変わることの無い「心」があるからこそ存在しているものです。
だから、「受け継がれる心」が無くなればこの町並みはあっけなく消え去るものだと思います。

マゼコゼの一画は、私たち家族(おもに私と妻の)の本棚でもあるのですが、ここにある本のタイトルを見て頂くだけでも、私たちのいい加減でマゼコゼな思考の断片?を感じて頂けるかもしれません。
そして、そこに新しい本(思考)が繋がり、加わることで、本棚全体の雰囲気もまた変わるような気がします。
もしかすると門前町のありように近いのかもしれません。

このマゼコゼな本棚に寄贈して頂いた二冊の本を加えさせて頂きました。
どうもありがとうございました。

小池マサヒサ記
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by cafe_mazekoze | 2010-04-04 00:04 | 門前暮らし | Comments(0)
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